ライターとしてあるべき姿と生き残る道 BATNAを持つこと
私は企画型提案ライターです。そのため、お仕事の話があり、先方から企画案を提出していただきたいとの話があった時には、惜しみなく提案します。
その上で金額を決めていただきたいと提起しますが、もし先方の提示した価格が想定以上に安ければ、その場で、あっさりと引き下がります。
仮にその提案した内容についてほかのライターが安く請負ったとしても特になんとも思いません。
その企画をそのライターが誠実に実行できるかが別問題だからです。
賢明で合理的な判断を下す会社であれば、恐らく、私に委託するでしょう。
BATNAという言葉がありますが、これを日本語に翻訳しますと、「交渉が決裂した時の対処策として最も良い案」という意味です。
私は、たとえば交渉がまとまらなくても、ほかの従来の仕事を着々と行なうだけなので、実は困りません。
ところが建設業界や経済面での企画提案をしつつ、さまざまな業界へのアプローチ策・提案を行なうライターをほかで探すと相当限られます。
なので正式に決まっていなくとも次々と企画提案を提出します。自分が考えつくカードをオープンにするのが私の方法です。
また、場合によっては企画会社同士で火花を散らし、クライアントに対して、プレゼンを行なうケースもあります。その際、企画会社が単独で検討するのではなく、外部のブレインに依頼するケースがあります。
その際、私は頼まれた企画会社から上流から同様に私案を提出し、プレゼンに勝利するよう同様に提案します。
ここまで読まれた方は、ずいぶんサービスしているなあと考えるかもしれませんが、これは逆に私が受注するための手法でもあります。
ちなみに、企画会社と私との交渉がまとまらなければ、ほかのライターを探す必要があり、そのライターが私より優れているか未知数。また、探す手間もかかるため、継続して行なう案件であれば、私に委託することになります。
専門知識や企画立案能力を持つと言うことはそれだけ強力なBATNAなのです。
私がライティングするだけではなく、その内容により全社に与えるシナジー効果を検討します。
ただし、私がこの手法が採れるのは建設業等ごく一部。すべての業界に精通し、同じ手法が採れるライターが、いればスーパーマンでありますが、あまり聞いたことはありません。
私が言いたいのは、自慢話ではありません。ライターも自身のBATNAを持つことが生き残る道と言いたいのです。
交渉で上から目線であってはなりませんが、中には非常識な価格帯でお願いする会社もあります。
しかし、BATNAを持っていれば、「その金額では合意できません」と丁重にお断りすることが可能です。
これはライターだけではなく、すべての個人事業主に応用可能です。
「うちは安くできますから」
そうすれば勝てるはずだと思われる個人事業主もいるかもしれません。
しかし、何の企画もなく、クライアントの作業に負担をかければ安くても意味がありません。
クライアントの負担を最小限にし、提案も行なう個人事業主であれば重宝されます。
これがBATNAでの交渉術です。