ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

60歳から始める個人事業主~サラリーマンは300万円で小さな会社を買ってはいけないこれだけの理由

M&Aの取材を結構していますが、最近は大企業で定年を迎えた元管理職が「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書) 」という本に触発され、中小企業を購入しようと意欲を持つ人がいます。

9月11日号付けの経済雑誌エコノミスト」でも同様な趣旨の特集が組まれており、M&Aのコンサルへの問い合わせが増えているのです。

これはM&Aをやっている人間からすれば、「迷惑している」といってもいいと関係者も言っていました。300万円で会社買えるのかと聞かれれば場合によっては買えます。

しかし、中小企業のオーナー経営を行うというのはそんな甘いことではなく、お金だけの問題ではないのです。これはいい面も悪い面もありますが、家族にならないと従業員のパフォーマンスを最大限発揮することが出来ないのです。

実は大企業の部長の次の就職希望では、「中小の社長をつとめたい」というものが少なからずあります。大手の完全子会社でしたら、話は別でそれは、単なる出向であり、次は大手本体に戻る可能性が高いです。これとは別で縁もゆかりもない企業を経営したいという人が想像以上にいて驚いています。

大手でつとめた経験があれば中小企業社長は楽勝だろうというのは相当な考え違いです。

確かに現在、中小における次期社長、後継者難というのは大きな課題ですが、軽く考えすぎています。

家族になるというのはそんな簡単ではなく、従業員の父親として振る舞うことなのです。息子の中には、不良もいれば、きつく指導すればふてくされる子どももいます。その子たちの面倒を生涯にわたって見切れるのかと問いたいところです。

しかも、同書ではある程度の規模に成長すれば再度、M&Aを提言している箇所もあり、ベンチャーはともかく、日本の昔からある中小企業文化をまったく理解しないにもほどがある作者だなと思いました。

ちなみに、私は経営は無理です。私と私の妻の生計を立てることで精一杯であり、ほかの数人の面倒を見ることは出来ません。さらに儲かったらどこかに売ればいいという発想をするほど鬼でもありません。

それにダンナさんを最も知る位置にあるのが奥様ですが、奥様から見てダンナさんが経営者の器があるかどうかも分かるでしょう。

自分の得意分野のスキルを活かすための個人事業主を推奨しても、会社経営は考え物です。それに中小には大きなリスクが潜んでおり、オーナーの資質=中小の価値という属人的な面もあるのです。

その資質というのはオーナーが保有している家だったりもします。銀行はシビアでオーナーがお金か不動産を保有しているかで貸すケースは今でも多いです。

大手元管理職でしたら、不動産を保有していることもあるでしょうが、会社のためにその不動産を投げ出す覚悟があるかも重要です。

そんなことをすれば奥様やご家族から猛攻撃をくらって、終わりです。会社経営というのはそこまでの覚悟がないとできないものなのです。儲かるかも知れませんが、リスクを負う世界でもあります。ですので考え直した方が良いのです。