東京の大雪と根性論に頼る働き方
こういう大雪の時に個人事業主である私は何をしているかといえば原稿執筆です。
あとはメールで編集者や広報との連絡や打ち合わせです。
夕方6時にニュースを見ていたのですが、渋谷駅や品川駅などで入場規制もあり、駅に入れない方や電車も運休し、家に帰れず、中にはホテルに泊まった人や、漫画喫茶あるいはカラオケ店で一夜を過ごした人もいるでしょう。
「気の毒になあ」と思いつつニュースを見ていました。
しかしホテルやカラオケ店で一夜を過ごすか、あるいは運良くタクシーで帰れた人もいたかもしれませんが、こういう時の費用はだいたい自腹なのです。
私が昨日、サラリーマンには見えない自腹があると書きましたがそれもこのうちの一つです。
もし前職の会社でホテル代を請求したとしても、
「この経費は認められません」と言われるのがオチです。
サラリーマンからすればホテルでのんびりし、朝の出勤もそれほど苦労がないため、お金がかかってもホテルに泊まるというのは合理的な発想です。
それにしてもこうした大雪の際に、会社として昼の12時に帰宅命令を出すことが出来るのか。
ネットでは、「前からわかっていたのだから12時に会社を閉じるべきでは」という意見もありました。
私も同感であり、その判断は正しいです。
これは会社によります。ホワイトな会社であれば、対応もマニュアル化しているため、早いです。この対応を決めるのは総務部長です。
ただし、難しいのは対応のマニュアル化が遅れている会社は総務部長であっても決断できません。
あとから責任を取らされることを回避するからです。総務部長もいろいろと対応策を考えますが、当然人間ですから、自身の保身も合わせて考え、いつまでたっても決断が出来ず、帰宅時間がほぼ定時になる。
サラリーマン社会ではよくある話です。そこでさまざまな駅での大混乱を招いたのです。
誤解のないようにいいますが、各社の総務部長が悪いわけではありません。どの会社にも独特の空気があり、その空気に対しては総務部長であっても逆らえないのです。
実は私も判断を下すことは現役であればためらっていたでしょう。
「このくらいの雪なら定時まで頑張ろう」
「根性がないとあとから言われるのが怖い」などなどです。
日本社会は悪い意味でスポーツ根性論と相性がいいです。根性を最大限に発揮すれば、会社がうまく回る。
これは私の世代でも信仰のように思う方が少なくなく、この根性論はしばらくなくならないでしょう。
しかし、若い世代はスポーツ根性論について行けませんのでそんな空気のある会社あるいは業種には入職しなくなります。
そこで各社とも「働き方改革」を行なう会社も増え、私もそれをテーマにして取材をしているのですが、問題はオーナー経営者が理解を示してくれるのかということです。
今回の東京の大雪を見ていますと、働き方のあるべき道は個人やチームの最大限のパフォーマーを発揮することに意味があるのですが、それが安易な根性論に頼るのは働き方改革もまだまだ道半ばだという感想を持ちました。