ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

60歳から始める個人事業主~仕事ができる人ほど遺産分与は後回しになる

 私は資産を持っていませんが、資産を持っている人を何人か知っています。いずれも仕事の出来る人です。私が財産管理をする会社に取材した時に、その会社の責任者は「仕事の出来る人ほど遺産分与は後回しになり、"相続"が"争続"になる」と語っていました。

 最近、弁護士や不動産管理会社を取材して、そこからうかがった話を紹介します。

「財産権」と「経営権」がスムーズに事業継承されていないという指摘があったのです。

 あるそこそこ規模感のある中小企業の会長ですが、社長の椅子は息子に譲ったものの、資産についてはまだ決めていません。何しろ株の大半はいまだに会長自身が持っていますから、目の黒いうちは社長に対して後ろから色々と指導する姿勢は変えておりません。いわば院政です。問題は会社の株もいまだに5割ほど保有しており、それが結構な資産です。

 しかも後妻を迎えており、株や不動産、現金を中心とした資産分与をどうするのか決めていないのです。もし、もしものことがあれば後妻VS長男の骨肉の争いが発生することは目に見えております。後妻にも息子さんが何人かおり、こういうケースはほとんど後妻家族が株を保有することになりそうです。そうなると経営上、配当金をより多く求めることが増える可能性もあります。

 中小企業は、「財産権」と「経営権」を70歳を過ぎたら、事業継承をスムーズにすべきですが、今深刻なのはこの両権利がすんなりと移行されていません。

 世代交代を考えれば、会長は社長に株を譲るべきなのでしょうがそうなると、実権はすべて社長が握ることになり、会長の言うことを聞く人がいなくなるのが寂しいのでしょうね。

 不動産管理会社は会社に混乱をもたらさないためにも、会長の院政を廃止し、社長に指揮を一本化すべきと提案しているようですが、なかなか会長がウンと言わないとのことです。

 もう一つは弁護士からの話で息子と娘さんがいる高齢者が同様、後妻を迎えてもめております。こちらも副社長までつとめていますのでなかなかの資産があります。いずれにしても両者とも75歳を超えているのですから、ご自身に「もしも」の時が来ることが想像すべきなのですが、なかなかそのあたり後伸ばししています。

  こちらも後妻VS息子+娘の争いになることが目に見えています。実際、披露宴を開催しましたが、息子さんや娘さんは欠席したとのことです。やはり資産を大幅に取られることや後から来た人をお母さんと呼べない心理はよく理解できます。

 2人に共通しているのは目の前の仕事に没頭し、遺産分与についてまったく考えていません。もちろん人によりますが団塊の世代以前の高齢者は仕事が好きな反面、遺産の分与が下手だなと感じています。

 よく大企業同族会社でもお家騒動があり、時々報道されますが、中小同族や資産家の家の騒動はもっと多いです。それはだいたい後妻を迎えたことによることが多く、そして夫が遺産分与を決めず、そのまま亡くなってしまい、後妻と息子や娘の間に一切のコミュニケーションを取らなかったため、大げんかになります。

 これは実は企業だけではなく、実はそこそこ資産のある人にも起りうることです。

お互い弁護士を立てて、戦争状態が続きます。だからこそ、遺産分与は早めに決めた方がいいのです。失敗しますと家も会社もぐちゃぐちゃになります。

 私は不動産の記事も書きますが、それにまつわる人間模様について色々と聞かされます。