ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

60歳から始める個人事業主~身の丈個人事業の魅力

 個人事業は大げさに考えず、派手に起業する必要もありません。個人事業としての起業にはお金がかかると思う人もいます。確かに業種や職種によればその指摘は正解ですが、私が推奨するのは身の丈個人事業です。

 事務所は自宅、従業員ゼロ、在庫なし、資金調達ゼロで起業し、このビジネスモデルをつくればお金がかかりません。ライター、コンサル、イラストレーター、漫画家、一人親方などなどいろいろな起業がありますが、いずれも自己資金で十分で起業が可能です。

 ちなみに、私の場合、椅子、文房具、ICレコーダー、カメラなどを購入し、起業準備資金は30万円ほどです。今でも背伸びせず事務所は書斎です。固定費をなるべく抑制することが肝要です。当然、事業上の借金もゼロです。

 私は私自身が商品であると考えています。ですから自分を自分でセールスすることにつとめています。私は商売の基本は、「集客にはじまり、集客に終わる」です。お客様、取引先を拡大し、地道にやっていけば個人事業は存続できるというのが持論です。

 私は10社ほどの取引先を確立すればなんとかなると思っています。個人事業での売上確保のあり方としては、1社だけから60万円の収入を得ている人よりも、10社から合計30万円の収入を確保している人の方を私は高く評価しています。

 個人事業が存続できず10年後、残っているのは10%に過ぎませんが、実は最初の投資額や固定費が大きすぎたのでは無いかと疑っています。ちなみに、私の固定費は新聞図書代15000円のほか、後は自宅の電気代・通信電話代・ガス代・水道代を按分計算しているのが月々の支払いです。

 贅沢と言えば、妻とドライブして近隣県のグルメを楽しむか、海外でこれまたグルメを楽しむ程度です。しかも繁忙期を避けるので安く上がります。

 名よりも実をおさえることがとても大事です。起業当初から巨額な借金をし、従業員を多数雇用し、派手な事務所や店舗も構えていけば、相当収益をあげる事業に成長しなければなりません。当然そうなれば、借金や金利の返済に追われ、従業員にも給料を払わなければなりません。そういうビジネスモデルだからこそ、事業継続が出来なかったのではないかと思うのです。

 実はこれまでの中小・零細企業や個人事業で失敗した社長や代表の性格を見ますと、自身の会社をより大きく見せようと派手好みの方がとても多かったのです。たとえば、私が以前いた部署は名前だけは立派ですが、実態は私1人しかいませんでした。中小・零細企業の中には、実よりも名を取る方がいます。これは単なる見栄っ張りだからです。

 私は個人事業を興す際、思うことがありました。

 「もう現役時代十分働いたので、夫婦二人で少し美味しいものを食べていけるだけで人生が満たされる」ということです。稼ぎはそれなりで、現役時代の半分で良いですが、妻との時間を大切にしたいという想いがありました。

 昔、太宰治の小説・『桜桃』を読み、一節の「こどもより大人が大事」というフレーズがとても好きでした。私は、当時の心情として、「天下国家よりも妻が大事」という考えがあり、それに沿って起業したとも言えます。その心情は今も変わりません。なので、身の丈個人事業はカネがかからず、家族との時間に恵まれ、とても豊かな人生を送れることをみなさんに伝えたいのです。