ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

60歳から始める個人事業主~倒産会社の構図

 倒産する理由の多くは、社長のパーソナリティーによります。ところが倒産した会社の社長はオレは悪くないという驚くほど当事者意識がないのも問題です。

 なぜ、あの会社が倒産したかという取材は、東京商工リサーチ帝国データバンクの協力を得て、コツコツと行なっています。記事で書けない話を調査員と話をしつつ、「今流行のあのチェーン店はアブナイよね」という話もあります。

 実は倒産取材だけで一冊本が書けるほど、倒産事例を取材しました。

 先日は一社下請の怖さを書きました。ほかには、急速にチェーン店を拡大したがる経営者って多いのですが、急拡大した会社はアブナイのです。人員が整っていない、ビジネスモデルとしてそもそも成り立っていないなどの理由があります。

 それでも数多く出店して一時的に時代の寵児になりますからマスコミには取り上げられることも多いです。そうはいつつも足下を固めることは大事で一店一店しっかり固めていったら次に進出するのはいいのですが、闇雲に進出する会社は破綻していく可能性があります。

 倒産していく会社の社長には決まった性格があります。攻めるばかりで、守りができない方が多いという印象があります。

 実は倒産取材をしていくと人間はなぜ失敗から学ばないのだろうと考えます。もし過去の倒産事例を集めて参考にしていけば倒産は確実に減ると思っています。オレだけは違うと考えてしまうのかこれは分かりません。それとも倒産事例から学びたくないのかも知れません。自分は特別な社長で万能にできると思い込むのかもしれません。

 最後には従業員の給料や外注にも払えず、人材も流出していき、事業が停止することになります。実は最後に頼れるのはキャッシュでして、キャッシュが枯渇すると事業継続は難しくなります。

 急拡大した影には会社にはいろいろな課題が隠されているので本来はこの課題を整理していくことが大事なのですが、課題解決せずに次のビジネスや商圏拡大に走ったことが問題です。

 私も実は破産した会社の社長などにインタビューを申し込むときがありますが、断られたり、「オレは悪くない」というコメントをする方がとても多いです。

 「そんな偉そうなことを言うが、お前に経営ができるのかよ」

 と聞かれるかも知れませんが、私はできないと応えます。倒産の構図を理解しても経営が出来るかどうかは別問題です。ただし、これをやると倒産の道に近づくということが薄々分かるので近づかないようにしています。ただ、私の場合は夫婦で食べていく分だけ稼げばいいので野心家ではないのです。

 私は退職した後、倒産取材を手がけるようになりましたが、倒産には方程式があると確信しています。自分ができるかどうか別問題ですが、いずれも避けようとすれば避けられた破綻です。私は倒産した後、「実はあの会社はね・・・」と解説するリポートを発表しますが、失敗から学ぶことはとても多いです。