60歳から始める個人事業主~いやはや人間の怨念はおっかないな
私はさばさばとしている方で怨念とか復讐とかそういうのはあまり興味がないのです。前の会社に対して、どう思うかと聞かれてももう二年近くになっているのでまあ、あまり覚えていないというのがホンネで元上司に対してなんかしたいとかそういうのは一切ないです。
復讐は何も生まないというのは私の心情です。ところが中には、そう考えない方もいて、復讐のために会社を設立した方がいます。
これは詳しくは書けないのですが、ある商圏で独占的に仕事を請負っている会社があると思って下さい。仮にA社といいます。そのA社はご多分に漏れず同族会社で社長はダンナさん、専務は奥さん、あとは諸々の使用人が働いています。
まあ利益は、社長夫婦が独占していますから、恨む使用人も多かったのです。使用人もここにいても将来がないと言うことであっさりと見限って、別の会社と転職します。
人材の流動性が極めて高い会社です。
この会社はピンポイントの商材で事実上、1社しか存続できないのです。新会社を立ち上げたところで両雄並び立たずで消耗戦になり、どちらかが倒産します。
このA社の社員とたまたま知り合い、A社の社員ふたりでB社を立ち上げ、A社を倒産させるという話を聞いたのです。
まあ腕の良い技術者と営業マンが組んで独立をもくろんだと言うことです。
最終的にB社を立ち上げ、対抗する形になりました。社名も一部異なるだけでだいたい同じです。しかも販売先も商材も同じです。
まったく同じ業界と地域でA社とB社が並立し、対立する構図になりました。
狭い業界で対決することになりましたが、いやはや人間の怨念はおっかないです。復讐するためだけに会社を立ち上げ、ぶつけるという発想は私にはなかったのですが、怨念が新たな会社を生み出すことが時としてあります。
こういうことって私が知らないだけでそこそこある話なんでしょうね。
「社長にはもうついていけません」と新会社を立ち上げ、同じ商材で勝負するって私には理解できませんが、いろいろありそうです。
ただし生き残った方がその地域で利益を独占できるので、100%復讐のためだけではなく、儲けられるはずという計算もあるのでしょう。どちらかが滅びるまで殴り合いの喧嘩が行なわれているのです。
しかも、地域の有力者を味方に付けるなど中々B社の視点は悪くないです。まったくの第三者から見るとB社有利とも見えます。
ですからやっぱり、頑張っている社員に対してそこそこ恩賞を与えないと足下をすくわれます。あまり貪欲になって自分と家族の利益を求めていくと社員から謀反を起こされるいい事例でした。しかもこのA社の社長も話を聞いていると、社員に辞められて、ちょっと近い業界に転職すると、「大問題だよ」と自宅まで電話してきて恫喝するなどあまり褒められた性格ではありません。
そういえば鎌倉幕府が滅亡した理由っていろいろあるのでしょうけれど、恩賞については極めて北条氏に有利になり、北条氏の中でも得宗家に有利になり、さらに時代が下るにつれて、得宗家の内管領の一族に有利になってほかの御家人に鎌倉幕府を支えるメリットがなくなったということが大きいのでしょう。
そこで有力御家人である新田義貞や足利尊氏が裏切り、鎌倉幕府を崩壊させたということです。鎌倉幕府も終盤を迎えると内管領の家族経営みたいなもので、一応の権力者の執権ですら、内管領の意向を重視していたとのことです。
やはり、家族経営でやりたい放題やると寝首をかかれるいい事例で、奉公と恩賞のバランスを整えることが経営の肝だと思うのです。