ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

サラリーマンとして「終わった人」はどう生きるべきか

内館 牧子氏の小説『終わった人』を読んでいます。舘 ひろし氏が主人公で同名の映画も放映されています。

主人公が「定年は生前葬だな」とぽつりとつぶやいたいうシーンは印象的でした。今読んでいる途中なのですが、目的もなく歩き回る姿はこういう人は多いのだろうなと想像しています。

主人公の略歴は東京大学法学部を卒業し、銀行畑を歩きつつ、順調に出世を重ねていましたが、子会社に転籍、最後は関連会社の専務取締役で終わります。本来であれば銀行本体の役員まで出世するキャリアですが、これも運命だったのでしょう。

注目したのは、定年した人はなにをやるのだろうと思っていたのですが、本当にやることがないとあらためて驚きました。

この人もまだ十分働けるにもかかわらず、仕事がなく、ぷらぷらしているのを見て、やはり定年前から何らかの準備はした方がいいでしょう。

私も50代前半で退職した後、基本的にはサラリーマンとしては文字通り「終わった人」です。

もし、何かをやりたいという希望がなければ、することがなくなって毎日ぼんやりと過ごしていたでしょう。今はそうでななく、そこそこ仕事もあって充実しているのですが、65歳以降の人生について50代から考えた方がいいです。

内田氏の小説にはいろいろとサラリーマン定年後あるあるがかなり盛り込まれており、丁寧な取材の後が垣間見られます。この小説が面白いのは定年後の人生のエピソードが挿入されているからです。

まあこの主人公も後に、社長になって大忙しな日々を送るのですが。

小説で重要なのはリアルの話で、リアルティーが薄いと面白くないのです。定年後、妻と旅行やいろいろと自由になれると考えるのであれば、それは考え直した方がいいです。

うちの妻もそうですが、妻なりのコミュニティーの世界があり、夫にずっと付き添っているわけではありません。

もちろん、私と妻は仲が良いのですが、現役時代から私は愛妻家と称しているのですが、それはそれこれはこれです。

思えば昭和時代でも定年退職後の夫に対して奥様の中には「粗大ゴミ」と言った人もいて、テレビで話題になったこともありました。

それに夫が定年後、妻に愚痴ばかりこぼしていてもこれも困りますし、サラリーマンとして「終わった人」はなにをすべきかを考える時代に突入しました。

そういう意味でタイムリーな小説であり、50代のサラリーマンが読んで今のうちに準備した方がいいです。