ライター 長井の気ままな生活

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会社が倒産する前兆と崩壊するとき

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私が現役時代から取材したかったテーマは、「働き方改革」「マイノリティーの地位向上」などでしたが、「倒産、休廃業」もそのうちの1つです。

会社が倒産する前兆は給料が遅配する時などいろいろな事象があります。取引先が手形ではなく、現金取引に変えて欲しいなどと要望があれば、与信が入ったとみなした方が良いでしょう。

あと、同業他社や周辺業者の噂もバカにならないもので、「あそこはアブナイ」という話が次々と広まります。

あと、ポイントはこのご時世にボーナスが出ない、寸志であるという会社も元からの年俸制は別として、これもなかなか厳しいです。

多くの会社では人件費がかかりますから、圧縮するのは当然ですが、社長が開き直って、「儲からないからボーナスは出せない」と公言すると事態は深刻です。

社長は経営全般を見る立場にいますのでその発言を十分注意して時には監視するような形で聞いた方がいいでしょう。

投げやりな発言や、もしくは、なんの根拠もなく、「俺についてくればいいことがある」では将来性は感じられません。

そういう中で、倒産取材をするとき、驚くほど社長当人に当事者意識がないことを感じます。

「俺は悪くない、あいつが悪い・・時代が悪い・・・政治が悪い・・・世間が悪い」

こういう話を幾度となく、聞きました。中には、酷い人もいて、「まるで君はハイエナだな」という方もいらっしゃいました。

ただ当人たちもさばさばした気持ちで話します。

倒産がいよいよ現実的になるときは、「ヒト・モノ・カネ」が一斉に崩壊します。ほとんどの倒産会社はこの現象が見られ、最後には組織の体をなさなくなります。

具体的には、人材流出が止まらず、モノの融通ができなくなり、カネもなくなります。

この3つがあれば少々の給料の遅配があっても実はなんとか延命できます。

私はゾンビ企業と呼んでいますが、延命している会社もかなりの数があります。

効果的な延命方法は、「ヒト・モノ・カネ」をコンパクトにし、中核の取引先を確保することです。業態を拡大することはムリにしても数年間は会社として存続できます。

倒産する会社の多くは、この時点で逆に拡大方針を打ち出して失敗します。

私は「はれのひ」はもし、横浜以外すべて撤退方針を早い内から打ち出せば、こんなみっともない倒産はせずに済みましたと今でも思っています。

本来は倒産する前に、休廃業の一手を打つべきというのが私の考えです。休廃業と倒産は定義的には完全に別ですが、私個人としては身ぎれいな倒産と考えています。

そして意外に思われるかも知れませんが、社長自身としては、「まだいける」と信じて傷を深くしてしまうことが多かったです。

そしてこれも意外かも知れませんが、社長は自身の能力を高く見積もっていることも多いのです。

ですので倒産を人生にとって敗北と考えてしまい、その現実を受け入れられないのでしょう。

そこで理想的な倒産を言えば、カネとモノがあれば数ヶ月維持できます。その余力をもって期限を区切って撤退戦を行なうことです。

ヒトが辞めても補充せず、不足すれば派遣かフリーランスでまかない、維持しつつ、事業を粛々と撤退を続け、コンパクトにし、会社の資産を精算し、休廃業することが誰にも迷惑のかからない倒産です。

ただし、その際、社長の最後の仕事はなるべく従業員の再出発のため、同業他社への就職の斡旋など頭を下げる日々が続きますが、無責任に、「オレはしらん」という態度は取って欲しくないのです。

それが私が会社経営者に対する願いなのですが、現実はそうでないこともあります。