五島勉さんが語るノストラダムス大予言の思い出。
「ノストラダムスの大予言」を執筆した五島勉さんは88歳。まだ存命であったことは驚きでした。写真を拝見するにいい具合に人生枯れているなあと言う感想があります。
五島さんの「ノストラダムスの大予言」ですが、当時出版された1973年の時、公害問題もあり、日本もお先真っ暗と思っていました。
東西冷戦時代、核戦争も現実的なものでした。
今はもっと別の意味でお先真っ暗ですが。
さらにこのような予言書が出るに至り、70年代~90年代と五島さんの本は影響力を持ち、続編も次々と書いていて売れていた時代です。
そんな多感な少年時代に私も読んでいましたが、「世界もおしまいなのかな」と漠然と不安を抱きました。
「だから勉強してもムダ」と思った人も少なくありません。
恐らく、全国の小中学校では一定の影響力を持って読まれていたのではないでしょうか。
ただ、その後、推理小説家の高木彬光さんが「ノストラダムス大予言の秘密」という本を出版し、五島さんの解釈のでたらめさを指摘され、1999年に人類は滅亡しないから安心してと説きました。
私も高木さんの本が正しいと思い、この本を読めば人類は滅亡しないから安心して欲しいと周囲の人に話しました。
一時であるにせよ、これだけ不安に陥れた五島さんの本ですが、今は逆の面で再評価しています。
五島さんは当時で言うスリラー作家ですが、スリリングな筆力はすごいと思います。今となっては笑い話かも知れませんが、日本中を不安に陥れた筆力は再評価されてしかるべきだと考えています。
ただし、五島さんの本が想像以上に売れて、「子どもを産んでも良いのでしょうか」「勉強してもムダなんですか」という真剣な問い合わせが五島さんと高木さんのもとに寄せられていたのは事実なのです。
五島さんは新書版の一つであり、機械的に作成したと回顧しています。これはよくわかります。
といいますのは、私も機械的にwebニュースを配信することが多く、実は見出しは編集者がスリラー的に作成することが多いからです。
私はライターではありますが、見出しを作成していません。
ですから自分が確信的に売れると思い、力を入れたニュースがまったく売れず、逆に編集者がスリリングな見出しをつけたニュースが売れるケースもあります。
その後、第二弾と次々と執筆していますが、編集者からすれば大予言というおいしい市場があるのですから、当然、続編を求めます。
ネタのないところから執筆するというのは大変ですが、五島さんはその後もこなしています。
こんなことを言うのもなんですが、あの本は編集者と五島さんの共著であったと想像しています。
ただ、五島さんは晩年になって自らの予言本について誠実に謝罪をしているというのは素直に評価しています。
機械的にこなした本が売れすぎたので後に引けなくなったのでしょう。そういうことはよくあることです。
一時期は恐怖のどん底に陥れた本ですが、それ以降、予言関係の本はまったく読んでいません。五島さんの一連の予言本で免疫がついたのでしょう。
当時、わたしは五島さんの晩年の姿をこのようなインタビュー記事で再会するとは予想していませんでした。
もし、高木さんが存命であれば両者の対談をしてほしかったです。
いいおじいちゃんになっています。インタビューに応じ、自身の人生を回顧する姿は予言本での悪影響はあるにせよ、素直に謝罪する姿には悪くないと思います。