ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

原稿料が安すぎる企画会社について

私は今の企画会社の受注方法については分りません。

しかし、1年前は私は発注する立場でしたのである程度は理解しているつもりです。

ところで企画会社は、人材をすべて抱えるのはコストがかかりますから、原稿、絵、プログラム、ホームページの設計などすべて外注するところもあります。

企画会社の中には、「ウチは安くていいものを仕上げますから」をうたい文句にし、実際それで成功しているところもあります。当然その企画会社はダンピング受注しますから、外注費も極端に抑えます。あるいは外注を単なるコストと見なし、なるべく安いところに委託する企画会社も少なくありません。

しかし、かつてそのやり方で成功していた会社が今なぜ、漂流しているのか実体験を踏まえて説明したいと思います。

原稿料などのクリエイターに支払うお金が安い企画会社が存在する理由は二つあります。

①とりあえず目先のお金が欲しいからダンピング受注をして、原稿料を払うお金が無い

②会社の儲けをより大きくしたいため、原稿料をなるべく削減したい

想像できるとしたら、この2点です。

実際、それでなんとか運用できたプロジェクトもあったと思います。たまたま、食い詰めていたライターがいて目先のお金が欲しいために受注したことが成功体験になり、「ライターに払うお金はこれが固定だ」という考えが会社全体に浸透したことです。

しかし、これはライターに限らずクリエイターの仕事全般に言えることで、その金額では当然、食べられませんから、転職するか別の企画会社に営業をかけ、金額をアップする仕事にジョブチェンジしていくわけです。

そのライターに、「この仕事もよろしく」と頼んでも、ライターは別の実入りのいい仕事を優先しますので、丁重に、「大変申し訳ないです。今忙しいです」と断ることになります。

では、「原稿料をアップすれば解決するのでは?」と疑問を持つ方もいますでしょうが、企画会社は一度、コストを下げることに成功すると、いくら景気が良くてもコストを上げることについては抵抗があるのです。

 

その苦労は末端の企画会社の正社員に行くことになります。当然、その方はなんとしてもライター、ホームページ設計者を確保しなければなりませんから、あちらこちらに声をかけますが、忙しくなくても金額が安ければ、「申し訳ない。今、いろいろありまして」と断られるのです。

 

ただ、今ランサーズやクラウドワークスなど安価に頼めるところも多いです。実際、主婦の方のライターも多く安く請けるのですが、専門性のある分野はとても無理です。

これは主婦の方を馬鹿にしているのではなく、長く業界に勤務し、業務に精通していれば、そのライティングは可能かも知れませんが、「これから勉強します」という方にとっては、この分野のオリジナル記事を執筆するのは難しいのです。

 

私は今回の案件について、確かにかつて勤務した業界なので私に仕事の依頼が来たと考えていますが、オリジナル記事を執筆するには安すぎる金額でした。

コピペして、執筆するのであればこの金額で十分ですが、法規や技術も勉強しつつ、易しい表現でまとめるにはまったく割に合わなかったです。

 

ですので、企画会社に「せめてこのくらいの金額はもらわないとね」と強気に値段の再提示を要請しました。クライアントに聞いて見ると言うことでしたが断られました。

 

冒頭に申し上げました、「ライターに支払う金額はここまで」と固定しているのでしょう。

私は率直にその担当者の方に、「このライティングがこの金額で妥当だとお考えでしょうか」とぶつけました。その担当者から返ってきたのは沈黙です。

恐らく、担当者自身も妥当だと考えていないのでしょう。しかし、会社全体がこの方向で進んでいる中、自分1人で変えられないジレンマもあると想像しています。

ただ、そうなるとこうした企画会社とクリエイターとのおつきあいは極めて刹那的になります。

安いライター、絵師、ホームページの設計のクリエイターを求めてネットを放浪するということになり、長期的なスパンでの戦略は立てられず、このプロジェクトを安く仕上げることだけに全力を尽くすことになります。

担当者にとってはかなりの神経的な消耗を強いられます。場合によってはノイローゼになるかも知れません。

実はこの担当者の方と打ち合わせをしたのは夜の9時半でしたが、この時間帯までの働き方であれば、私であれば普通に持ちません。

「大変」だなと同情はしました。

しかし、ある程度、オリジナルを執筆できるライターをお金で囲えば仕事はずいぶん楽になり、「今回これでヨロ(よろしく)」と言えば「なるはや(なるべく早く)で仕上げますよ」という問答で済みますから、意思決定のスピード感がまったく異なります、

さらにクライアントにも迷惑をかけなくても済みます。

恐らく、デフレ時代であれば、このコストダウン戦略は成功していたかも知れません。

現在は、安い反面、専門性の高い記事執筆に対しては、断ることが多くなり、プロジェクト全体の遂行に関わってきます。

その一方、安くて専門性がない記事であれば請ける方はいます。

問題はこの企画会社がその誤りに気がつくかどうかです。過ちがわかればすぐ修正すべきです。それは会社の存続にかかわる大きな分水嶺になっています。

成功体験は確かに人や会社も成長させ、やりがいを生み出します。しかし、賞味期限の切れた成功体験は足かせにもなる危険な要素をはらんでいます。

実は人間は、メンツもあり誤りを認めることはかなり難しいです。

会社の社長であればなおさらです。

しかし、誤りを修正しなければ状況はますます悪化します。

結論を申しますと、この企画会社に対してのあり方については、一定の金額を払い、外注する方を徹底的に囲うことと外注者が逃げないようにコミュニケーションを密接にすることを提案いたします。

今のような刹那的な外注者とのつきあいでは現場に混乱を来たすだけです。

しかし、私にも今回の1件で分りましたが、自身にも大きな誤りがありました。次のコラムではそのことについて書きたいと思います。