企業系ライターの悩み
私は基本はweb系ニュースの執筆を中心で業務を進めている。
もし、webニュース系で無記名執筆でお願いしますと言われたら、お金を積まれたとしてもその時点でどのような依頼があっても断ることにしている。
記名は自分にとっては誇りであり、承認欲求にもつながり、無記名執筆はどうもやる気が起きないのも事実だ。
ただし、例外があり、企業の社史については依頼を積極的に受けることにしている。というのも企業の歴史がよく分るし、自分が歴史好きということもある。
実は前職の仕事では、社史担当でもあった。もちろん仕事は社史がメインではなく、ほかに色々と仕事のあるウチの1つだ。
ハッキリ言うと社史は花形の仕事ではない。私の業務は花形の仕事と言うよりも、地味な仕事ばかりだったのだが、自然と社史編纂の仕事も回ってきたのだろうと思う。
しかし、いつ社史を作成するかということが決定していなかったため、資料だけはまとめたが、執筆には至らなかった。
後に私は会社を退職した後、社史を編纂することが決定したと風の便りに聞いた。
企業はこうした広報誌や社史作成にあたり、当然、ライターを起用する。
実は、企業も広報誌や社史の作成の方法が分らないため、ライターを起用するのがはるかに合理的と言える。
このような文章作成について会議をするとき、誰かが、「プロのライターを起用してはどうか」という意見が必ず出で、多くはこの意見に賛同する。
正直、企業も文章をどう書いたらいいか分らないというのが本音のところ。もっというと構成も分らないため、私のようなライターの出番があるわけだ。
ただし受ける印象としては原稿代がいい企業は、仕事もスムーズに進む一方、原稿代が低い企業は逆に要求することが多い。
本来は逆であるべきだが、どうもこういう傾向になるらしい。
たとえばホームページの改定の際に編集プロダクションに原稿依頼をするが、安い原稿代の時は必ず、ライターに対してほかの仕事もあるかもしれないと付け加えるが、実はあてにならない。
私はライター駆け出しの時にある企業のホームページのライティングを引き受けたが、とても割に合う仕事ではなかった。
追加の仕事もあるという話も結局、立ち消えになった。それに懲りて、安い企業系の仕事は二度と受けないことにした。
先日もある企業のホームページ改定の仕事の依頼があったが、金額が安いので断った。
断ると仕事が来なくなるのではないかと言う意見もあるだろうが、今ある仕事に注力をした方がより依頼が来ると思う。
ある仕事に対してはその編集プロダクションには丁重に断ったが、内心、「よくこの金額で依頼するね」というのが本心だ。
内容を見ても簡単な仕事ではないことが分る。そのため、企業はもっとお金を出すべきだし、プロダクションが中抜きしているのか分らないが、ハッキリ言ってこの金額だといいライターは引き受けないだろうなと想像した。
そして引き受けたライターは大変だなと感じた。
何回もやり直し、修正要求があり、安い金額で拘束されることが目に浮かぶようだ。
こういう案件に関わったら生活できなくなるので、逃げるが勝ちである。
ライターは文章を書くのが仕事であるが、一方、独特の嗅覚をもってヤバイ案件から逃げる術を覚えることも大切だ。
人がよくなんでも引き受けるのは生き方としては賢いとは言えないのだ。