ライター 長井の気ままな生活

気ままなライター生活を綴ります

ブラック再雇用制度

昨日も同じようなことを書いたが、日本の再雇用制度というのはどうもよく理解できない。60歳を超えると定年で、それから再雇用することが多い。

一度、まとまった金額の退職金が入るのでラッキーと考えるがそれも一瞬。

それまで部長職だったのが営業部営業2課付という特に役職がなく、仕事も楽になるが、大企業であれば給料はおおむね半分くらいに減る。

特に前の部下が上司になるため人間関係にも苦労しそうだ。別に偉そうな態度で接しているわけでもないが上司から見ると、けむたい存在のようで助言をしてもイヤミっぽく聞こえるようで、中々、再雇用後の人間関係は難しい。

まだ、子会社の役員になれれば幸いでその辣腕を振るえるかも知れないが、今はどこの大手企業もシビアで天下りも難しい。

60歳後の人生設計は色々と考えなければならない。この間、「スーパーサラリーマン左江内氏」というドラマをやっていて、原作を読んでみてみると私も左江内氏と同じような年で、大企業勤務で課長を目指していたようだが先は厳しそうだった。

ちなみに中小企業はさらに厳しい。

たとえば60歳まで事業部長という役職だと仮定しても、再雇用でも引き続き事業部長の職に留まり、給料だけは60%ほど減額する。中小の部長であれば、役員でなければ600万円~700万円ほどだが、それが一気に300万円以下になるということだ。

それに中小企業は天下りがないため、子会社の役員になるのも不可能。

会社って結構冷たいなと感じるのは長年馬車馬のように働き、貢献した社員でも、給料を下げるだけではなく、会社側の社会保険負担を回避する契約を結ぼうとする動きが横行している。

なので再雇用後の1年間は当然、給料も下がるので社会保険も全額負担と言うことで多額な出費が必要になる。

家や車のローンを抱えている人は大変だろう。さらにお子さんが大学に通学したいという希望もあれば、とてもやっていけない。昨今、流行の銀行カードローン問題も根っこはここにあるという話もある。

私はこうした再雇用は「どうなのか」と色々と周囲を聞いてみると大手も中小企業のトップはもちろん、社員までが「仕方がない」と受け入れている。

コストを考えると再雇用制度があるだけマシともいえると思っているのが実情だ。

再雇用制度が違法かどうかというと適法であるのだが、それにしても会社側はもう少し考えてもいいのではないかと思う。

長年の働きに報いるために、少なくとも社会保険についても半分は会社側負担、あるいは、再雇用時の給料減額の比率についても再検討しなければ、あまりにも労働者に不利すぎる。

とはいえ現状を変えようという動きもないようだ。

正直、中小企業の部長職を60歳を超えても行なうとなると実務とマネージメントの併用であるため、かなりきついのは本音。

部長と言っても実務を丸投げするわけにはいかず、多くの実務を抱えつつ、部下の指導も合わせて行なう。

しかも、トップからの距離は非常に近く、要求されることも大きい。

トップ側も心得たものでこいつは辞めないだろうから無理言っても大丈夫だという安心感もあることから、さらに無理を言う。

トップはやはり人件費を考えるため、辞めないと考えている人間はかなりの無理を要求し、社員も会社に引き続き留まろうと考えると、その無理に応えようとする。

中小の場合、この再雇用のケースが一番きついのではないかと思う。

ただ現実的にはこのような再雇用のケースが多く、再雇用後の人生がブラック化するのはそのためだとも言える。